朝日新聞Twitterサッカー生中継にブログマーケティングの「先」を見た
Jun
12
ターミネーター4に続いて。
来るときには次々と来ますね。
asahi (asahi) on Twitter 朝日新聞社の公式アカウントです。各種速報やニュースをお届けする予定です。
朝日新聞社は、「asahi」というアカウント名で「Twitter」への投稿を開始した。10日にはサッカーワールドカップ南アフリカ大会予選「日本vsカタール」の模様を配信している。朝日新聞社によれば、「実験的に始めた。どれくらいの反応があるか検証している段階」とのことで、同社デジタルメディア本部の記者が更新しているという。10日は、横浜にある日産スタジアムでの取材の様子を投稿。同日18時現在で1800以上のフォローがある。
朝日新聞が、Twitterを開始するそうです。私が気にしているMedia系Twitterは、ロイターだったり、日経BPだったり、もちろんCNetやITMediaや、変わったところではインド新聞だったり様々。個々から得られる情報は貴重で、とにかく速い。手元のTwitterガジェットをクリックするだけで、そのサイトにわざわざ見に行かなくても、「ながら見」が可能なのだ。ちょうどテレビのように。Twitterは新世代メディアの中核になるのではないかという、きわめて素朴な発想:ニュータイプになろう!:ITmedia オルタナティブ・ブログ
僕としてはTwitter特有の「ライブ感」がいよいよメジャー媒体の現場に上がってきたということで、非常に感慨深いです。
というのは、これはTwitterではないですが、テキスト情報を頻繁に更新することでスポーツ中継を行った例が、すでにあるからです。
僕が知っているのはこれです。
コラム 四家正紀のWebトーク(第6回)『カーリング ネット中継』
2006年、トリノ五輪直後のカーリング女子日本選手権。見たい人は多いのに中継がない。
一人のファンが2ちゃんねるで「テキスト中継」をはじめたのです。
掲示板にアクセスしながら現地で試合を見ていた一人のファンが、この石の配置を、中心から近い順に文字を並べて書き込んだのだ。 たとえば「赤赤黄」と表記すれば、いまは赤が有利だが、次に黄色の石が赤を二つ同時にはじき出せば逆転できる、という状況を伝えることができる。この観戦者は、掲示板にアクセスしているほかのファンのために、一投ごとにひたすら石の配置を伝えた。 驚くべきことに、かくも簡素な「テキスト生中継」が好評を呼んだ。数多くのファンが掲示板を通じてライブの興奮を味わい、生中継に対する賞賛と感謝の声が多数寄せられた。
こちらも最近話題になっている津田さんによるシンポジウムなどのTwitter生中継(俗称Tsudaる)などにも言えることですが、手打ちのテキストもつライブ感は、ときに大変強烈に刺さってきます。簡単にいうと、テレビやWebの動画ストリーミングよりずっとライブ感があります。
Twitterでシンポジウム「生中継」 津田大介さんに聞く: 特集 : J-CAST会社ウォッチ
そもそも生中継動画は、無駄が多い。見たくないものも見なければならない。テキスト、特に表意文字を多用する日本語のテキストはダイレクトに脳に入ってくるし、情報量も多い。
そしてなによりも「多くの人がタイムラインを共有する」というTwitterの特性が非常に面白い。
知人など、他のユーザーのつぶやきと一つのタイムラインで見ることができるのです。今回の朝日新聞Twitterサッカー中継も、朝日記者のテキストだけでなく、リアルタイムに流れてくる周りの反応が実に面白かったのです。
もう一つは、パーソナリティの表現です。
大新聞の看板を背負ってTwitterに登場したのは、一人の女性(らしき)スタッフでした。
コグレさんが例によってうまくまとめていますので確認してください。
[N] W杯最終予選、ファンタジスタは@asahi(ツイッター)
口調・顔文字・特定選手への思い入れ・ちょっと勘違いなど、ここには明らかに「法人」ではない「人間」がいます。僕がブログマーケティングを語るときにいつも言っている、これです。
5. 成長はさらなる効率化ではなく、人間化(humanification)によってもたらされる。2つの航空会社があったとしよう。どちらも便利なサービスと高い価値を顧客に提供している。ニューヨークに行くにも、香港に行くにも、運賃は同じくらい。どちらも同じくらい立派な飛行機を持ち、乗客にはピーナッツと飲み物と「機内食」をふるまっている。利用する空港も同じだ。しかし、一方の従業員はフレンドリーで、もう一方の従業員は無愛想。一方の航空会社には遊び心と冒険心があり、もう一方の航空会社はくたびれたサラリーマンのオーラをまとっている。どちらの航空会社の方がビジネスの人間的な側面を真剣に考えているだろうか。20年後も生き残っているのはどちらだろう? これを自分の業界に、自分の会社にあてはめて考えてほしい。6.ビジネスブログがうまくいくのは、会社を人間的に見せることができたときだ。「穴の開いた膜」という投稿でも書いたが、企業は顧客(外部市場)の会話が社内の会話(内部市場)と一致する状態を理想としなければならない。顧客が夢中になっているものに企業も夢中になるべきだ。これを「一致(alignment)」と呼ぶ。そのよい例がAppleだ。Appleの連中はiPodをクールだと思っている。顧客もしかり。彼らは「一致」している。
問題は、企業と顧客が一致しなくなった時だ。企業が自社の製品をほめたたえ、消費者が最低の商品だと言い合う時、深刻な不一致が起きる。 では、不一致を避けるためにはどうすればいいのか?
答えは企業と顧客を隔てている「文化の膜」にある。この膜にたくさんの穴が開いているほど、企業と顧客、内部と外部の対話は容易になる。両者はよりそい、同化するようになる。 そしてブログほどうまく、この膜に穴を開けることのできるものはない。
Blog Network Blog: ビジネスブログの価値:企業の成長はさらなる効率化ではなく、人間化によってもたらされる
効率化より人間化|カレン次世代ビジネスリサーチ室ブログ 執筆:四家正紀
どうしても「上から目線」のイメージが強い「記者」、記者による「客観報道」よりも、キャラを前面に打ち出した、親しめるキャラクターによる個人的な「つぶやき」のほうがTwitterにはふさわしい。そして「サッカーが好き・楽しみたい」「Twitter面白い」というポイントで「一致(alignment)」を作ることが大切です。顧客が夢中になっているものに企業も夢中になるべきなのです。
なので次回、こんどは別のテーマで、別のキャラクターが出てくる可能性もありますよね。
それにしても、女性っぽい個性を打ち出したら、あっという間に擬人化ですか。
[N] @asahiが「asaぽん」として擬人化される(ツイッター)
というわけで、Twitterの持つ「映像に勝るテキストのライブ感」と「個性を打ち出すことによる親近感」はこれからますます面白い事例を作っていきそうです。
問題は、Twitterにしても朝日新聞にしても、収益モデルが全く見えていないことでしょうね。これ、ひっくり返すと、Twitterが受けている原因の一つは「コンテンツに広告が割り込んでこない」からです。とりあえず今は、朝日新聞としても「実験」と位置づけており、どんどんユーザーを増やしていくことが重要ではありますが、どこかでお金の流れを作らないと、息切れしてしまう可能性も否定できません。個人的にもアイディアはいろいろあるので、まとまったら公開してみようかと思いますけれど、今はまだムリです。
とにかく、Twitterの持つ可能性についていろいろ考えさせられた今回のサッカー中継でした。
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